アップが遅れてスミマセン!さて、後編です。
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次に案内していただいたのは貯蔵タンクの並ぶ施設です。入り口の扉には先代からの社是であるという「酒にこころあり」(=一滴一滴にも心がこもっている。ということだそうです)の文字が描かれており、上を見上げると杉玉が下がっていました。
足を踏み入れると、大きなタンクと小さなタンクがズラッと並んでいました。小さなものは大吟醸などに使われているそうです。そして、サーマルタンク。機械制御で温度を管理できることから低音長期発酵が可能になり、このことにより上品な香りと香味成分が残るのだそうです。昔、こういった設備が無かった頃は、外から雪を持ってきてタンクの周りに雪をくっつけて冷やしていたそうです。雪国ならではの工夫ですね。
タンクの中を見せていただきました。貯蔵している期間により泡の立ち方が違っています。もろみ状態で大体2ヶ月くらい、泡が平らになったら終盤なのだそうです。
さて、次に搾る工程です。搾るのには2つ方式があります。
・ 槽(フネ)式
・ やぶた式
というもので、「槽式」は、酒袋に入れたもろみを酒槽に積み重ね、上から圧力をかけてお酒を搾ります。形が舟に似ているところからこのように呼びます。 これは現在、大吟醸などにしか用いないようです。「やぶた式」は、連続式のもろみ圧搾機:アコーディオンのような蛇腹状の形をした機械なのですが、蛇腹状の一つ一つにもろみが入り、そこに空気を入れて横から圧力をかけるというものです。この工程で酒と酒粕に分かれるわけですね(写真が無くてすみません)。
見学の最後に、試飲をさせていただきました。搾ったばかりの原酒3種類と、市販されているもの3種類です。原酒を試飲してみて、原酒とは感じさせないような優しい口当たりにビックリ。この柔らかさが「越の華」の特徴でもあると同時に、仕込み水の柔らかさにも由来しているものです。市販されているものの中では、やはりビストロSMAPで妻夫木聡さんが勝利チームに贈っていたお酒が目に付きます(以下写真の黒い瓶です)。スッと口に入りキレが良い、上品で綺麗なお酒でした。そのほか純米大吟醸「幻の世阿弥」。こちらはスッと口に入る、きめ細やかな印象ですが、口に入った後、その香味が口の中一杯に広がる、ふくらみのある贅沢なお酒です。そして、面白いのが「カワセミの旅」。日本酒を思わせない、まるでデザートワインのようなまろやかな甘さを持つお酒は、日本酒度-30(※)!甘くてトロリとしているのですが、ベトつく感じが全く無いのが素晴らしいと思いました。このお酒はパリの有名なショコラティエにチョコレートと一緒にいただくお酒として紹介されたのだそうです。食前もしくは食後に飲みたいお酒です。ラベルもオシャレですよ(こちらも写真が無くてすみません)。
以上で、蔵見学は終了いたしました。ご案内いただいた小野寺社長にお礼申し上げます。
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どの蔵を見学させていただいても思うのですが、その蔵に根付いた文化と、酒造りに対する魂や熱意。それは「どこがどうだから良い」というのではなく、どの蔵も賞賛すべきものであると感じます。
今回、越の華さんに伺い、見学をしながら色々なお話しをお聞かせいただくことが出来ました。その中でいくつか紹介したいと思います。
「酒が主張しすぎない」
試飲のときに感じたのですが、越の華のお酒の印象を言うならば「優しくて控えめ」。それは、酒自体が主張しすぎることなく、料理と一緒に頂く際に料理の美味しさをマスキングしてしまうことなく、引き立て、楽しい場を提供したいと言う想いがあるとのことでした。
「酒縁」
また、印象的だった言葉が「酒縁」。お酒は人と人を結ぶというのは実体験を持って感じるところではありましたが、とても良い言葉だと思いました。お酒は人と人がつながるための最高のコミュニケーションツールであるということを、再認識いたしました。
※日本酒度:一般的に+(プラス)であるほど辛くてエキス分が少ないとされます。-(マイナス)であるほど、甘くてエキス分が高いとされます。しかし、これは目安でしかないので、一概に括れません。
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越の華酒造