昨夜は、広島の竹鶴酒造で杜氏をしておられる石川氏を囲んだお酒の会が、私の大のお気に入りのお店「そばきり酒房 吟」で催されました。本当にお声掛け頂いて嬉しい限りです。竹鶴は、吟で出会ったお酒です。最初にマスターが「少しクセがあるかもしれないけど、好きな人ははまる」というコメントとともに燗をして出してくれたのです。熟成されたお酒は、うっすら琥珀に色づき、とても綺麗です。酸味が強く感じられ、しっかりとした印象のお酒です。初めての味わいに、ファンになってしまったのでした。
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石川氏は大変くだけた楽しい方で、色々な話を聞かせていただきましたが、その中で最も心に残ったのは、「酒造りはエロスだ」ということば。私が日常的に考えている事柄に、シンプルで圧倒的な答えを突きつけられたような感動があったのです。
そして「お酒を飲むという行為もまたエロスなのだろう」と思いました。
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私が日頃から考えていること。それは、お酒に限ったことではないのですが、目に見えることや、数値化できるようなこと:定量的なもの。それは所詮スペックでしかなく、本当の素晴らしさというのは目に見えない、定量化できないもの、すなわちエモーショナルな部分に依存すると。私達は、論理的な判断に基づいて、あらゆる状況や物事を選んでいるわけではありません。私たち自身がエモーショナルな存在なのですからそれは当然なことなのですが。
酒の催しに足を運ぶ機会もありますが、「山田錦を使用している」「米を35%まで磨いている」などの会話がそこらかしこで飛び交っています。スペックというのは分かりやすいですし、仕方が無いことなのでしょうが、日本酒というのはスペックでは到底語りきれない素晴らしさがあるということをいかにして伝えるか。それは日本酒をたしなむ人たちがとことん楽しく飲むことを色々な人に見てもらうことでしょうか。
私は日本酒が好きですが、お酒自体が好きというよりは、それがもたらす感覚、自分の中に生まれる感情などが交じり合ったエクスペリエンス(?)が欲しいのでしょう。
まとまりを欠いた文章になりました。あまりに感動が多かったものですから・・・と、言い訳をさせてください。