私たちの蔵見学は雪の十日町へ。毎年蔵見学ツアーの日は雪が降るというジンクスがありましたが、今年は順調です。今回は、マイクロバスを仕立てて新潟市内から約2時間の道のりを経て十日町市へ。
十日町市には日本酒の蔵さんが2つ存在しており地元の方々に愛されていますが、そのうちの1つである松乃井酒造場さんへお邪魔してまいりました。創業は明治時代にさかのぼり、その歴史は100年を上回っておられます。「松乃井」という名前の由来は、赤松林の清らかな水を仕込み水として使ったことにあるそうです。銘柄の由来をお聞きするのも「なるほどねぇ~」と、これまた楽しいものです。
蔵元の古澤氏と杜氏からご説明いただきながら、醸造工程順にご案内いただきました。こちらのお蔵さんでは6人の方々で仕込みをされておられます。
お米について、精米サンプルを見ながら。吟醸、大吟醸クラスには山田錦、越淡麗を。純米大吟醸「英保」については越淡麗を35%迄磨いて使用しておられます。また、特別純米には十日町産のたかね錦55%まで磨き、普通酒には五百万石の米麹とこしいぶきの掛米を用いるなど、とても多くの米を使用しておられました。精米は自社の精米機を使用しておられますが、「英保」で用いるお米を35%まで磨くのには70時間かかるということですよ。
洗米についてはザルに小分けにして手作業です。その後浸漬(給水)を経たお米を甑、昔ながらの甑という和釜(下の写真)で蒸しあげます。
仕込みタンクの手前になにやら小さなタンクが。これは何かというと、1回目の仕込み(仕込みは3段仕込というように3回に分けて原料をタンクに足していきます)は冷えすぎないように小さなタンクで行っているとのこと。2回目の仕込みからは大きなタンクに移しかえているとのことです。普通酒と本醸造は3段仕込みが終わってから2週間くらいで、吟醸は25日くらいまで引っ張って辛くするとともに温度を2~3度低くして長期低温発酵させているとのことです。
モロミがプチプチ元気に生きている様を見せて頂きつつ立ち上る芳香に「いい香り~♪」と、一同うっとり(というかヨダレがっ!?)。
こちらはでは出来上がった麹を乾燥させています。
蔵の中にはこういった「穴」が。その下にはタンクが。ここから原料を投入したりするのですね。お蔵さんによって色々な工夫が見られますな。
搾りは槽(ふね。上の写真)といわれるものとヤブタとよばれる連続圧搾機で。槽はデッカイお風呂みたいなのですが、布の袋にモロミを入れたものをそのお風呂の中に重ねていくわけですね。で、上から徐々に圧を掛けて搾るというもの。吟醸クラスは3日~4日かけて槽で搾るということです。同じお酒でも槽で搾ると味わいがまろやかになるそうです。また、大吟醸については袋吊りという方法(モロミを入れた袋をヒモで吊るしその重みで自然に雫が垂れてくる)で搾られています。なんと贅沢な・・・。袋を吊るす場合と、袋を重ねて絞る場合でも味わいが変わるのだそうです。前者はあっさり、後者は濃厚といったように。うーん、だからお酒って面白いですよね☆
今回の見学で感じたのは、それぞての工程で人の手がとても手厚く掛かっているということ、そして真っ直ぐに自社の酒造りを突き進んでおられることでした。そういった想いが瓶の中に凝縮され、味わいを形作っているわけですね。
ご説明もとても分かりやすく楽しいものでした。皆様、大変お世話になりました。
そして私たちはこの後、至福のランチタイムへと突入するのでした。
***【後編】へ続く***